弁償のため毎月給料から引かれる
会社の機械を、不注意で壊してしまいました。「弁償してもらう。給料から引いておく」といわれ、先月から給料の4分の1が引かれています。
まず知っておきましょう。
(1) 賃金は全額払いが原則。
(2) 例外として、
ア 法令に別段の定めがある場合
イ 労使の自主的協定がある場合 には、賃金の一部控除が認められている
(3) 違約金を定めたり、損害賠償額を予定する労働契約は禁止されている。
労働者の生活の基盤であり、労働の対価でもある賃金の支払いについては、5つの原則があります。「全額払い」もその中の一つです。 しかし、事務手続きの簡素化などの必要から、一定の条件の下で、例外としての控除が認められています。その一つは、所得税の源泉徴収や社会・労働保険料など法令に定めがある場合です。二つ目は、社宅の家賃、社内売店からの購入代金、労働組合費など労使の自主的な協定が認めている場合です。
説明
お尋ねの場合は、上記二つのどちらにも該当しないので、賃金の控除は認められないことになります。 なお、予め違約金や損害賠償額を定めた労働契約を結ぶことは禁止されています。
(4)労働過程において通常求められる注意義務を尽くしていれば、
労働過程で日常的に発生する損害については、損害賠償義務は発生しない。
ここを確認しましょう。
(1) 損害額はいくらか。
(2) 損害の責任は自分にあるのか。自分の責任はどのくらいか。
自分の責任ですが、飲食店で食器の破損などは、事業を行っていく上で発生するもので、よほどの事がない限り個人の責任はないでしょう。
(3) 同様な事故について、これまで、どのように扱われていたか。
対応例
(1)弁償の必要を判断し、必要であれば弁償額や支払方法などを決める。
(2) 専門の機関に相談する。
弁済費用を一方的に給料から差し引くことは許されませんが、実際に生じた損害の賠償をする必要がないということではありません。 この場合、問題になるのは、損害額がいくらで、労働者の責任割合はどのくらいなのか、その支払いはどうするかということです。当事者が直接話し合って決められればいいのですが、双方の立場や違いや感情の問題などがあって、うまく決まるとは限りません。そうしたときには、専門家にご相談ください。
■ 労働相談は一般的な内容のものです。具体的な内容については、当ユニオンへ電話、来所してご相談ください。
提供 連帯ユニオン