通勤途上に事故にあいました、労災になるでしょうか?
事故の療養で仕事が出来ません、労災保険給付になりますか。
まず知っておきましょう。
通勤災害は、業務に起因する業務災害ではありませんが労災保険制度の適用になります。
労災保険法における通勤の以下の要件を満たしている必要があります。
通勤が、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」であること。
通勤災害は労災保険による保険給付(休業給付)の対象になりますが、業務上の災害に該当しません。従って、これにかかる療養期間は、労基法19条において解雇禁止対象とされている「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」にはなりません。通勤災害は、労基法19条の解雇制限にあたりません。
通勤災害と認定されるためには、災害を被ったのが「通勤」の途上であること。
労災保険法でいうところの「通勤」とは、
① 「就業に関し」
② 「住居と就業の場所との間を」
③ 「合理的な経路および方法により往復」
により行うことであり、業務の性質を有するものを除くになります。
以下は労災保険法の該当する条文です。 | ||
第七条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。 | ||
一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付 二 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付 三 二次健康診断等給付 |
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2 前項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。 | ||
一 住居と就業の場所との間の往復 二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動 三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。) |
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3 労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項各号に掲げ る移動は、第一項第二号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行 うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。 |
労災保険法の該当の要件を少し詳しく見てみましょう。
第一に、「就業に関し」ですが、業務に就くために、あるいは業務に就いたためにという関連性がなければなりません。ここでいう業務とは、会社主催の歓送迎会などでも業務としておこなわれていれば該当します。
休憩時間中の帰宅、出社。業務終了後の事業場内のサークル活動等、社会通念上就業と帰宅との直接的関連性を失わせると認められるほど長時間の場合を除き「就業に関し」てとなります。
第二に、通勤は、住居と就業の場所との往復でなければなりません。
住居とは、労働者が居住して日常生活をしている拠点を言い、本人の就業のための拠点となるところです。単身赴任先にも住居を借りている場合は、自宅と両方が住居になります。就業の場所とは、業務を開始し、または終了する場所をいいます。ここでは、上記の会社主催の歓送迎会の会場なども就業の場所に含まれます。
単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居との間の移動もここにいう「通勤」に含まれます。
(平成18年4月1日施行改正労働者災害補償保険 ただし制限があります)
第三に、合理的な経路及び方法について
① 合理的な経路について
定期券の経路、あるいは会社に届けてある鉄道・バスなどの通常利用する経路や当日の交通事情の為に迂回してとる経路などが合理的経路としてあげられています。
② 合理的な方法について
一般に労働者が用いるものと認められる手段等をいう。鉄道、バスなどの公共交通機関の利用、自動車、自転車等の使用、徒歩など、通常用いられる交通方法は、当該労働が平常用いているか否かにかかわらず、一般に合理的な方法してあげられています。
第四に逸脱・中断ですが、
① 逸脱とは、通勤の途中で就業又は通勤と関係のない目的で合理的な経路からはずれることをいい
② 中断とは、通勤の経路上において通勤とは関係のない行為を行うことをいいます。
解説
通勤の途中で逸脱又は中断があると、その後再び経路に復旧したり、中断となった行為を中止したとしても、原則通勤となりません。
ただし、逸脱や中断があっても、それが「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である限り、その後の往復行為の途上での災害は通勤災害に該当します。夕食の買い物を、途中のスーパーですることなどがそれにあたります。
また、労働者が通勤の途上で行う「ささいな逸脱・中断」はここでいう逸脱・中断にはあたりません。たとえば、途中の売店によって新聞やたばこを買ったり、公衆便所によったりなどです。
ここを確認しましょう。
通勤とのことですので、「労災保険が適用される事業場である」、「労働基準法上の労働者」の2点に該当することを確認しましょう。
通勤が、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」に該当すれば、労災保険制度の通勤災害になります。
労災保険法における通勤の要件を満たしていれば保険給付(休業給付)になります。事業主に、請求書に証明をもらい労災保険給付の手続きにを行ってください。
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