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働き始めるときの赤信号

労災(業務災害・通勤災害)が発生しました。労災保険給付の手続きについて

事業主が、手続き(労災 申請)を渋って手続きをしません。

まず知っておきましょう。
労災は、業務上災害の事件であるので事実関係の掌握が第一である。したがって、
① 証拠の収集保全に努める。
② 時効ある。
③ 解雇制限がある。
④ 使用者に対する民事上の損害賠償請求も選択肢としてある。

ただし②時効については、
石綿による健康被害の場合、「石綿による健康被害の救済に関する法律」ができ、労災保険が時効で請求する権利がなくなっていても,この制度により救済を受けることができます。


適用される事業所・労働者、保険料
原則として労働者を一人でも使用する事業所は労災保険が成立します。(ただし一部適用されない事業所あり)  そこに働く労働者はすべて保険の対象となる。
したがって、使用者が労災保険料を支払っていなくとも、労働者は保険給付を受けられます。また、アルバイトやビザの有効期間が切れたまま滞在して就労している外国人も、事業所に雇用される労働者であれば、労災保険給付を受けることができる。 作業中に発生した災害は,殆どが業務上災害として労災保険給付が認められるでしょう。ただし,作業中であっても,それが業務を逸脱した行為による場合などは業務外となり、労災にはなりません。

 
証拠の収集保全
事業主が手続きを渋っている状況ですので、労災保険給付に非協力的と思われます。
手続きのときに、請求書に事業主証明欄があり被災事実や賃金関係の証明をしてもらうと良いのですが、拒否のときは、証明が拒否された旨の上申書を添附して申請できます。事業主証明欄が空欄の場合、労基署の調査で事実が判明すれば問題ないのですが、事業主が非協力的であったり、隠ぺいに遭ったりすると労災認定が不利になります。この様なケースの場合、証拠が大変大事になります。 この労災の各種給付等の請求書は、労基署にあります。

時効
① 2年で時効  療養(補償)給付、休業(補償)給付、葬祭料、
② 5年で時効 障害(補償)給付、遺族(補償)給付、

解雇制限
この解雇制限は、労働基準法 第十九条によるもので、

労働基準法 第十九条 条文
 
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

但し、①3年を経過した時点でまだ治癒しないで休業している労働者に対し平均賃金の1200日分を支払った場合(労基法81条)には解雇することが認められます。
この①が労働基準法 第十九条の打切補償と呼ばれるものです。
打切補償は支払った時点で「雇用関係が終了」になります。
この解雇制限は通勤災害には適用されません、業務災害のみ適用。

事業主が、労災保険給付に非協力的な時、労災保険給付の争点の整理をしておきましょう。例として、死傷病と業務との因果関係、労働者性の有無、障害等級評価等が争点になる可能性。

労災保険給付の請求の結果、決定に不服がある者は、不服の申し立てをすることができます。
例 労災だからと、労災保険給付(治療費や休業補償)を請求したが労災と認められない場合

1 労災保険給付についての不服がある場合
(1) 審査請求
被災労働者又は遺族等は、労働基準監督署長が行った保険給付を支給する、支給しないという決定に対して不服がある場合には、その決定をした労働基準監督署の所在地を管轄する労働局に置かれている労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」といいます。)に不服の申し立てをすることができます。
不服申立ては、直接審査官に対して行うことができますが、審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長や保険給付に関する決定をした労働基準監督署長を経由して行うこともできます。不服申立ては、保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に行わなければなりません。

(2) 再審査請求  
審査官の決定に不服がある場合や審査請求後3か月を経過しても審査官による決定がない場合には、労働保険審査会に対して、再審査請求をすることができます。
再審査請求は、文書で、労働保険審査会に対して行います。なお、再審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長、最初に保険給付に関する決定をした労働基準監督署長や審査官を経由して行うこともできます。再審査請求は、審査官から決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して60日以内に行わなければなりません。


行政訴訟
労災保険審査官に対する審査請求をした日から3カ月を経過しても審査決定がないときは、労働基準監督署長の決定について、行政処分取消訴訟を提起することができる。(行政事件訴訟法8条2項1号)

 
使用者に対する民事上の損害賠償請求

民事上の賠償請求と労災保険制度との関係

1 損害賠償請求権、業務災害について使用者に安全配慮義務違反があれば、債務不履行を理由とする損害賠償請求ができる。また、不法行為責任や災害の状況によっては、製造物責任についても検討してみる必要がある。

2 損害賠償請求と労災保険制度との関係、労災保険制度では、慰謝料に相当するものの支払いはないから、慰謝料を請求するには民事上の損害賠償請求しかない。

3 労災保険給付は、一部分しか填補しないから、不足するその差額については、民事上の損害賠償請求権を行使できる。

事業主が手続きを渋っている場合、手続きを自分でもしくは、専門家(社会保険労務士)などにお願いすることになります。
 
■ 労働相談は一般的な内容のものです。具体的な内容については、当ユニオンへ電話、来所してご相談ください。
 


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