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働き始めるときの赤信号

就業規則とは、なにを決めたものですか?

就業規則があると、会社で聞きました。何をする為のものですか。

まず知っておきましょう。
「就業規則」とは職場における労働条件や規律についてのルールです。
労働条件(賃金,労働時間など)を取り決めている規則で、その他職場における一切の待遇をいうものとなされています。

働き始める時
労働者と使用者が、「労働すること」「賃金を支払うこと」について合意すると、労働契約が成立します。(労働契約法第6条)

具体的には、「給料**円で○X会社で働くことになった」と言うような例です。
これは、
① 労働者が給料**円で労働することに合意し
② 使用者が労働の対価として給料**円の賃金を支払うことに同意した。
これで労働者と使用者間の合意が成立したことになります。この合意は口頭でも成立し法的に有効です。労働基準法15条では、明示しなければならない労働条件を定めており、重要なものについては、書面を交付しなければならないとしている。明示が無く、または書面交付がされない場合は、労働基準法15条違反となるだけであって、合意は成立し有効です。

では働き始める時に、その事業場に就業規則があった場合ですが
労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合に、使用者が
① 合理的な内容の就業規則を
② 労働者に周知させていた。
この場合には、就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になります。(労働契約法第7条)

使用者からすれば、給料など基本的な事は個別に決め、その他はひとまとめにして就業規則で決め運用できるという事です。就業規則の記載事項について(労働基準法89条)定めがあります。

周知について
① 常に各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること
② 書面で交付すること
③ 磁気ディスク等に記録し、かつ、各作業場に、労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
のいずれかによればよいこととされています。(労働基準法106条 労働基準法施行規則52条の2)  ①でも周知とされる事に注意が必要です。すなわち「常に各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付け」てあれば、労働者が内容を知らなくても周知されたものとされ、それに拘束されます。就業規則の効力の発生時期は、周知された時期とされています。

個別の労働契約(条件)と就業規則の関係
優先順位
① 労働者と使用者が、就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合には、その合意していた内容が、労働者の労働条件になります。(労働契約法第7条ただし書)

② 労働者と使用者が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合には、労働者の労働条件は、就業規則の内容まで引き上がります。(同第12条)

③ 法令や労働協約に反する就業規則は、労働者の労働条件にはなりません。(同第13条)

使用者が就業規則を見せず、労働者が見られない場合などは、労働者に周知されていませんので、その就業規則は労働者の労働条件にはなりません。
ただし、使用者が就業規則を秘匿(隠し)し労働者がその内容を知ることができずにいる場合、就業規則上の権利が無くなるということではありません。就業規則を開示の上、請求という事が可能です。

 

働き始めてからの就業規則
① 労働契約の内容の変更について
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。(労働契約法第8条)契約の大前提である。たとえば昇給は、労働者だけが同意しても不可能で、使用者も同意してはじめて有効になる。同様に減給についても双方の同意が必要である。

② 就業規則による労働契約の内容の変更について
就業規則による労働契約の不利益変更にも,労働者との合意が必要。(同9条)
ただし,次条の場合は,この限りでない。

「(就業規則による労働契約の内容の変更)
第10条使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において,変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ,就業規則の変更が,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性,労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは,労働契約の内容である労働条件は,当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし,労働契約において,労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については,第12条に該当する場合を除き,この限りでない。

この同10条の要件により使用者の一方的な不利益変更に制限がかかっています。

就業規則の作成及び届出の義務
常時10人以上の労働者を使用する使用者は,次に掲げる事項について就業規則を作成し,行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても,同様とする。

始業及び終業の時刻,休憩時間,休日,休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
賃金(臨時の賃金等を除く)の決定,計算及び支払の方法,賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
退職に関する事項(解雇の事由を含む)
退職手当の適用される労働者の範囲,退職手当の決定,計算及び支払方法、支払時期
臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額
食費,作業用品その他の負担の事項
安全及び衛生に関する事項
職業訓練に関する事項
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
表彰及び制裁に関する事項

当該事業場の労働者のすべてに適用される定めに関する事項

セクシュアルハラスメント に関する事項
 
就業規則に定める事項.について
表①号から③号までは,必ず記載しなければならない事項です。(赤色字)
表④号以下は,「定めがあれば」記載しなければならない事項です。(茶色字)
男女雇用機会均等法第21条第1項に「セクシュアルハラスメントに対して雇用管理上必要な配慮」と規定しており,就業規則に盛り込む必要性を考慮するべきでしょう。表⑫号(青色字)

就業規則の作成
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成しなければなりません。また、作成。変更にあたっては、使用者は、労働組合又は労働者を代表する者の意見を添えて労働基準監督署に届けること、また労働者に周知させることが義務づけられています。

なお,就業規則の作成,変更の届出をもって効力が発生する訳ではありません。就業規則を労働者と使用者が合意有無あるいは、相当性,合理性の有無((労働契約法第10条)により決まるものです。

就業規則により労働条件が決まる大変重要な職場の決まりごとです。賃上げあるいは賃下げなどは、就業規則を根拠としておこなわれることが多く、日頃から就業規則に目を通す、あるいは手元に入手しておくなどしておきましょう。
 
■ 労働相談は一般的な内容のものです。具体的な内容については、当ユニオンへ電話、来所してご相談ください。
 


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