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窮極のリストラ=会社倒産

朝、会社に行ってみたら倒産(突然死)していた、あるいはゆっくりと真綿で首を絞めるように緩やかな死(事業縮小-廃業)を迎える。
働いている人にとっては、悪夢以外の何物でもない。生活基盤が失われ路頭に迷う事になるのだ。未来永劫に続くことが保障された企業は無いのだから、倒産について知っておくべきことを学んでみよう。

倒産するかも、と思った時のチェックポイント

倒産が避けられないとすれば、実務上は倒産の予知(いつ倒産?)と倒産後の賃金(給料・退職金)の確保が実務としてしなければいけないことです。さらに就職先の確保が待ち受けています。


 倒産の予知
倒産は、注意深く観察していれば、兆候をつかむ事が出来るでしょう。

黄信号レベルの兆候(シグナル)、が周りに発生したら要注意です。
財務関係では、
メインバンク変更、土地建物に抵当権設定、融通手形が出る、追加融資。
資産の処分、取引の条件の悪化(手形決済が短くなる、現金決済になる)。
など、経理書類で、貸借対照表や損益計算書などの決算書類の分析評価などしてみる。ただし倒産するような会社は、決算書類がまともに作られていない時もあり、実態を勘案しながら評価する。たとえば売上は、総金額だけでなく、1個当たりの販売価格や販売個数、そしてそれを裏付ける作業日報かあるかの確認などが必要。会社に不動産があれば、登記簿謄本を取ってみる。抵当権の設定があるか、金額はどうかなどの情報が得られる。

人関係では、
会社の中枢にいた役員・社員が辞める。
特に中小企業の場合には社長が会社に来なくなった。連絡がつきにくくなった。その筋の人と分かる人物が頻繁に来る。チェックポイントとしては、倒産をいち早く知りえる立場の人の動きが重要。

赤信号レベルの兆候(シグナル)、としては給料の遅配などがあります。

 倒産しそうだ、倒産した、するべきことは。
倒産の兆候あり、、あるいは倒産確実というときに、やっておくべきこと(実務)は何が必要か。

やっておくべきことと言われても、何をすればよいか分からない。では倒産したら何に困るかと自問すれば良いでしょう。
● 例
① 倒産したら「給料や退職金」はもらえるか。
② 「働く所」はあるか
この2つが真っ先に思い浮かぶ。 
 
「給料や退職金」をもらうためには、会社に払う資産が有るかどうか、そしていくらもらえばいいのかの額を知ることが必要です。
したがって、まず①の「給料や退職金」の確保するためにやっておくべきこととは、「給料や退職金」に払える資産がいくらのこっているか調査することである。
会社の資産知る方法としては
Ⅰ 所有する不動産の登記簿謄本と固定資産税評価証明書の入手
Ⅱ 銀行口座
Ⅲ 売掛金の売掛先会社名・金額・支払期日の把握
Ⅳ 企業年金や退職金共済への加入状況の把握
Ⅴ その他の各種会員権、社有車、賃借物件の敷金・保証金などの把握Ⅵ 税金や社会保険料の滞納額の把握
などを知っておくと良い。これらの資産の中から賃金が支払われます。
(注 固定資産税評価証明書は、本人または代理人でないと出来ませんのでコピーの入手等)
 
それから、
Ⅶ 就業規則や退職金規定、賃金規定などの確保
Ⅷ 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の確保
など必要です。上記の2点で未払い賃金を確定します。
「労働者名簿、賃金台帳、出勤簿」は、法定三帳簿で3年間保存することが労働法令で義務付れられています。無いと賃金を確定できません。なければ会社に作らせること。

いずれも個人で対応は困難なので、労働組合を結成、あるいは外部の労働組合に加入をする方が良い。
労働組合で倒産に備えて
A 絹.合員の名簿の作成
B 組合員の未払給料・賞与や退職金の一覧表作成
など準備しておく。倒産すると資産は、1時間以内に消える物と思って準備しておく。
 
労働組合でないと出来ないですが、労働協約の締結。締結しておくと絶対有利になります。
● 退職金協約
退職金規定がないとさは退職金協約、あるときでも退職金上積み協約を会社との間で締結すること。退職金協約の見本は「こちら

● 事業所使用協約
事業所使用協約書 倒産したときは、会社資産の流出防止(商品・金品の流失、債権者の占拠防止)や賃金の確保のために有効です。書類(賃金台帳、売掛先一覧表など)の確保がスムーズに行えます。
破産管財人との交渉などで、職場を確保していると大きな力になります。
これらをやっておけば、いざ倒産のときに即座に会社資産の譲渡を受けたり、物品を占有していれば、裁判所で差押手続を取るとかの対応ができる。会社資産が流出した後では差し押さえは意味がない。倒産のときは他の債権者(銀行とか取引先とか)との一刻一秒を争う取り合い競争になるので速さが勝負の決め手になる。上記の協約書には、会社代表印の捺印と印鑑登録証明書を添えておくとよい。事業所使用協約の見本は「こちら
 
これらを個人が行うことは困難であるので、万一に備えて労働組合が整理解雇、事業所閉鎖等の経営全体に関わる事項について事前協議・事前同意約款などの労働協約を締結しておくとさらに良い。ここまでが準備になります。


「倒産確実」あるいは、「倒産した」ときにするべきこと。
具体的には、給料や退職金を確保するのためにすることになります。
① 未払労働債権確認書をもらう。倒産した当日の朝に作ることは不可能です。倒産したら、町金や債権者が押し掛けてくるので上の者は、逃げていないと覚悟しておく。したがって「倒産前日」までに、会社に捺印してもらうのが良い。労働組合などで、従業員一人分ごとに計算して、会社から印をもらうだけに準備しておく。未払労働債権確認書で、未払の給料やボ-ナス、退職金、解雇予告手当など会社に金額を確認させておく。倒産すると、会社側と連絡が取れなくなったり、書類が流失したりして未払い賃金の確定が出来なくなることが多い。未払い賃金の額が分からないと請求出来ないので必ず確定(はっきり)させておく。未払労働債権確認書の見本は「こちら

② 会社資産の譲渡を受けること。そのために、会社資産譲渡協定書を会社との間で締結する。ただし不動産の場合は、倒産するまでに銀行などの抵当権が付いているのが普通なので期待できない。一応確認しておく。

隠し資産が無いか調べてみる。
例 
A マンションの電気・ガス代を毎月会社で払っている->会社がマンションを所有していないか。
 
B 過去に大金が動いている->土地、建物、国債などに変化し残っていないか。
いずれも一人では、調査出来ないので経理担当などの社員と一緒に調べることになります。倒産した時点で、社内の資産はほとんど残っていないケースがほとんどだと思われます。隠れ資産や経営者の周りの資産に着目して、対応します。

売掛金に注意(これは有効な手段です)
売掛金とは、相手が「代金をつけ」にして支払いを後払いにすることです。
商品の売り買いをした時、その都度代金を払わずに、後日まとめて払うこお金を売掛金と言います。約束の期日が来れば、相手からこのお金をもらえるわけです。倒産した会社でも、後日もらえる「売掛金」が有ることが多くあります。この「売掛金」を賃金の代わりに頂くのです。
手続きは、債権譲渡通知書を作って、社長に社判と代表者印を押して発送する。債権譲渡通知は売掛先に1番早く到達した者の勝ちです、一刻でも早く出すこと。債権譲渡通知書には、確定日付が必要です。詳しい手続きは、弁護士・労働組合などに相談しておいてください。

上記の会社資産の譲渡や債権譲渡を受けれなかったら、裁判所で差押や仮差押の手続を粛々と進めることになります。 給料など雇用関係から生じた債権について、一般先取特権が認められていて、給料は優先的に弁済を受けることができます。 残った資産の中から、税金や社会保険料、清算のための弁護士費用がまず引かれ、残りが有ればの一般先取特権の給料になり、さらに残りが有れば一般の債権に当てられます。これは法律上の流れです。実際のところ倒産する会社では、取引先の支払い・給与・税金等を滞納して倒産するわけですから、一般先取特権を利用してもあまり期待できないでしょう。裁判所で差押の場合、かかる費用(弁護士費)と残っている資産を考えて、元が取れるかの判断が必要です。何人かでまとまって裁判であれば、一人当たりの弁護士費用が少なくなり良いでしょう。

ここまで対応しても「給料や退職金」が足りない(確保出来ない)場合、会社からはもう取れないのですから他の方法をとることになります。
 

● 他の方法とは
会社が共済や保険などに入っていないか確認。
① 中小企業退職金共済
② 特定退職金共済
③ 退職企業年金保険
などに加入していないガを確認する。加入していれば、倒産しても、退職金がある。金額が希望どうりかは、別ですが。
これでも足りない場合は、社長や取締役の責任を追及して私財の提供を求めること、親会社や場合によっては取引先やスポンサー(銀行など)の責任を追及することも出来るだうう。


● 「給料や退職金」の確保の最後の方法
未払賃金の立替払制度を利用する。(退職後6か月以内)
倒産して給料や退職金の未払が発生したときに、国の労働者健康福祉機構(旧名 労働福祉事業団)が未払分の立替払いをしてくれる制度。会社の規模や立替払に上限額あります。

労働者健康福祉機構のホームーページ
労働者健康福祉機構の立替払制度説明のページ


● 就職先の確保
雇用の確保はとうするのか、雇用の確保のためには、どんなことをすれば良いのでしょうか。雇用の確保は、会社が再建出来なければ、「労働組合で自主再建する」と要求していくことが前提になるでしょう。こうすれば資産の流失も防げて良い。企業クループの会社倒産であれば「企業グループ内の会社で雇用」とか「親企業で雇用」という要求をする事になります。

資料
退職金協約の見本は「こちら
事業所使用協約の見本は「こちら
未払労働債権確認書の見本は「こちら



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