あなたの職場に赤信号ありませんか?

賃金の決まりとは、どんなものですか


賃金とは、名称(賃金、給料、手当、賞与等)に関わらず、労働の報酬(対償)として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。(労基法11条)

ただし、以下は賃金となりません。
1 任意的、恩恵的なもの(結婚祝金、見舞金や弔慰金など)
2 福利厚生的なもの(社員旅行、食事代の補助、住宅貸与など)
3 企業設備、業務費的なもの(制服、作業服、出張旅費など)

就業規則や労働協約等で支払義務が生じるものは、賃金です。
例として、「賞与は、年2回・1回につき月額給与の2か月分を支払う」と就業規則にあれば賃金となります。就業規則にある以上、使用者には支払いの義務があり、労働者は、もらう権利があります。

賃金には、下回ってはいけない最低賃金が決まっています。
最低賃金法に基づいて、地域ごとに決まっています。(たいていの場合、毎年変わります)


大阪府最低賃金 936円 平成30年10月1日から
東京最低賃金  985円 平成30年10月1日から
臨時・パートタイマー・アルバイト等を含むすべての労働者に適用されます。
最低賃金を下回るものは無効となり、最低賃金額が賃金となります。
この最低賃金は、労働者に適用され、委託や請負には適用されません。

賃金は、いくらですか
賃金は、使用者と労働者の間の労働契約できまります。
入社時であれば、採用時に決めた条件が労働契約になります。社員であれば、賃金の改定時(昇給)に労使間で決めた条件が労働契約になります。

さらに労働基準法では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定められ口頭の約束でも有効ですが念のため書面で明確にすることよいでしょう。

10人以上を使用する事業所では、就業規則の作成義務があり、就業規則の中に、賃金の決定、計算及び支払方法等を記載する必要があります。


賃金支払い 5原則

賃金の支払については、
1 通貨払の原則 現物支給は、ダメです
2 直接払の原則 直接本人労働者へ(本人の口座でも構いません)
3 全額払の原則 賃金は、その全額を支払わなければなりません。天引きの禁止、ただし税金の徴収等、法令に定めがあればできます
4 毎月1回以上払の原則、
5 一定期日払の原則 (賞与等は構いません)


時間外労働と割増賃金

時間外労働、休日労働、深夜労働の3つの意味。
所定労働時間を超えて働くのが「時間外労働」(残業)。
休日に出勤して働くことを「休日労働」。
午後10時から午前5時までの間に行う労働を「深夜労働」。
育児等を行う労働者には、条件によっては、短時間勤務制度(1日6時間)で制限があります。

原則として、法定労働時間(1日8時間・原則週40時間)を超える労働はできません。

労働基準法第36条には 「労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない」と定められています。

ですから、時間外労働・休日労働に関する協定(通称「36(サブロク)協定」)を結び、労働基準監督署に届け出れば時間外労働などが、可能になります。残業をするためには、36協定は必須です。
変形労働時間制の場合は、一時的に超えても平均して法定労働時間を超えない場合は、構いません。
例 1日や1週間で法定労働時間を超えていても、週、月、年の一定期間で平均し、法定労働時間を超えない場合は、労働基準法違反になりません。

割増賃金
割増賃金は、時間外労働や休日労働、または深夜に労働をさせた場合に支払わなければなりません。
割増賃金の範囲は、労働基準法の法定労働時間を超えた労働、法定休日の労働、深夜労働についてです。

会社等で定めた所定労働時間や所定休日とは違います。労働基準法の時間外労働や休日労働に該当した場合の割増賃金です。就業規則の所定労働時間を超えた分が直ちに割増賃金になるわけではありません。

例として、就業規則に労働時間が9時から17時まで(昼休憩1時間)の場合は、1日7時間労働です。この場合、30分残業したとしても、法定労働時間の8時間を超えていませんので、割増賃金の支払義務は生じません。最低30分の通常の賃金を支払えばよいことになります。ただし、就業規則等で所定労働時間を超える部分については割増賃金を支払うと規定していれば、支払義務が生じます。

 

割増賃金の計算方法
割増賃金の計算基礎となる賃金1時間分を算出し、それに割増率と時間数をかけて算出します。
※ 労働時間について、手待ち時間、仮眠時間が労働時間とみなされる場合があり注意が必要。

割増賃金の計算基礎となる賃金は、基本給のみならず、諸手当も含まれることになりますが、次の手当は算定基礎から除外することができると定められています。
1 家族手当、
2 通勤手当、
3 別居手当、
4 子女教育手当、
5 住宅手当、
6 臨時に支払われた賃金、
7 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

さらに詳しくは、労働基準法第37条第5項、同規則第21条・労働基準法第37条、第138条、時間外労働の限度に関する基準、割増賃金令を参照してください。

※ 管理監督者は、労働時間(1日8時間、週40時間)、休憩及び休日の保護対象から除外されており、時間外労働・休日労働に対する割増賃金の支払義務はありません。ただし、深夜業の規定については、適用が除外されませんので、深夜時間についての割増賃金は支払義務があります。管理監督者についてですが、資格や職位で判断せずに、実態で判断してください。名ばかり管理職にしておいて、残業代を払わないのはダメです。

 

退職金
退職金の性格 退職金について、労働基準法では、定めがありませんのて、使用者は支払いの義務はありません。しかしながら、退職金の支給条件が、就業規則、労働協約、労働契約等によって定められている場合は、労働基準法上の賃金に含まれ、使用者には支払義務があります。

なお退職金取り決めがなくても、過去に退職金を支払っており、退職金を支給する慣行が成立してい場合は、使用者は退職者に対し、支払義務を負うことになります。

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